初恋


蓮弥は少し首を傾けて微笑んでいた。


『あ、れ?連弥…怒って、ないの?』

さっきの態度は、絶対怒ってると思ったんだけど…

「は?…何で俺が怒ってるわけ?」

ポカーンとした表情で見つめてくる蓮弥。

『あ…れ』

怒ってなかったんだ!

あー、良かった!


あたしが要領悪くて足手まといだって怒ってると思ったから、付き合って早々喧嘩しちゃったとか思って…

「俺、そんなことでおこんねーから」

笑いながら言う蓮弥。

『え?』

よくみると、みんながくすくす笑っていた

『何が?そんなことでって?』

何のこと言ってるのか全くわかんないし。

頭の上にクエスチョンマークをいっぱい並べていると、

「だから、奈緒が要領悪くて足手まといなんて、思ってないから

あたしが要領悪くて足手まと…」

口に出して蓮弥の言ったことを繰り返してみると

何のことを言っているのかがようやく理解できた。

『っえ!?蓮弥って、超能力使えるの!?』

…我ながらアホらしい疑問だと思った。

でもさ、口に出してないで頭の中で考えてただけだよ?

なのに考えてることが分かるなんて、超能力が使えるとしか考えられないじゃん!

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