記憶喪失少女
刹那「………え?」


好き…?誰が!?誰を!?


<刹那ちゃん、好きだよ…>


優の声ばかりが頭でこだまする…


刹那「…ごめんなさい、私は満津が…」


ごめんね?私は貴方の気持ちに答えられない…


満津が好き…って言うこともあるけど、


第一、私はあなたの











【敵】だから……











優「うん、わかってるよ…」


そう言って優は寂しそうに笑った。


(お客様、そろそろ降りてもらえますか?)


観覧車のドアを開け、係員が声をかけてきた…


優「はぁーい!!!」


優は元気よく挨拶をし、私の方を向いた。


優「刹那ちゃん降りようか」


そう言ってほほ笑んだ優は私を置いて歩いて行ってしまった…


私は、慌てて下り優を追った


そんな私に気づいたのか優は走って逃げた


刹那「もぉ、どうして逃げるのよぉ」


そんな理由、わかっているのに、


走って逃げる優の背中に愚痴をこぼす


あ、やば!!このままじゃ見失っちゃう!!


そう思った私は、また優を追って走り出した


刹那「優…はや…すぎ!!」


呼吸が続かず、胸が苦しい、


ずっと走り続けてる優はどことなく余裕があるように感じた、


刹那「…っ!!!  優ーーーーー!!!!!」


優がそのままどこかへ行ってしまうようで怖くなり、私は大きな声で優を呼び止めた


ピタッ… 不意に優は走る足を止めた


そんな事に気にも留めず、私は言葉を続ける…


刹那「ごめんなさい!!  そして、











   有り難う!!!」




私がそういったと同時に、



優がこちらを振り返り、微笑んだ… ---







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