【B】君の魔法


「そんなことないわ……。

 私が悪かったの。

 エレベーターに
 鍵をかける方法を
 仕事に夢中で
 忘れたのよ。

 聞いておくのを。

 気がついたら誰もいなくて
 そのまま出掛けてしまったの」





やっぱり……
そうやって君は、嘘をつく。




嘘の中に
その身を置いて、
ガチガチに
固めてしまうんだね。



そのまま
黙り込んでしまった彼女。



沈黙の車内に
耐え切れなくて
思わず音楽を流す。





流れる音に
スピードを加速させていく。



20分後、
自宅の門を潜った
車は駐車場で
ゆっくりと止まった。





< 114 / 339 >

この作品をシェア

pagetop