【B】君の魔法
エンジンの音に
気がついたのか
慌てて出てくる
中野。
「お帰りなさいませ。
武流さま」
中野が
運転席のドアを
開けたのを確認して
ゆっくりと
車から降りて立ち上がる。
続いて、
助手席のドアを開く中野。
車を降りようとする彼女に
ゆっくりと手を差し伸べる。
彼女は微笑んで、
その手を掴み、
ゆっくりと立ち上がった。
「いらっしゃいませ。
雪路さま」
中野は彼女にも
深々とお辞儀をする。
「武流さま、
社の方から
何度かお電話がありました」
「あぁ。
わかった。
中野、彼女を寛げる部屋へ。
用事を済ませて行くよ」
彼女に言い残して、
また自室へと向かう。
携帯電話を取り出して、
社の重役たちと
会話を交わす。