【B】君の魔法
「……ホント?……」
「あぁ」
幾重にも
張り巡らされた
蜘蛛の巣に
ゆっくりと自ら
捕らえられてることにすら
気がつかずに
自ら飛び込んでくる
可憐な蝶。
彼女は……
俺の腕の中、
安堵するように
涙を流す。
何かを
吐き出すように
涙を流す。
そんな彼女を
抱いたまま……
過ごす時間。
「……武流さん……。
私を
貴方で満たして……」
恥ずかしそうに
呟く言葉。
彼女の思いに
寄り添うように
そっと抱き上げると
寝室のベッドへと
ゆっくりと横たえた。