【B】君の魔法




俺を感じることで
乾いたプライドの泉を
満たそうと……。





だけど……
この場所では
君の思い通りにはならない。







彼女の前に出て、
周囲を見渡すと
静かに頭をさげる。




そして、
彼女が理解できない
他の言葉で
ゆっくりと謝罪した。





「まぁ。
 
 武流さまに、
 あんなことさせるなんて
 信じられないわ」






過去に何度か
縁談が持ち上がった
家のお嬢さんたちが
わざと尊子に聞こえるように
陰口を叩く。







尊子の震える体を
ゆっくりと
守るように抱くと
会場から
ゆっくりと連れ出す。






プライドがズタズタに
裂かれてしまった
彼女の歩みは
覚束ない。






もう……そろそろ、
終らせようか。




退屈なこの時間を……。



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