【B】君の魔法
「いやっ。
君のほうこそ、
疲れていたら、
休んでくれて構わない」
「えぇ、有難う」
含みのある、
彼女のその言い方が
気になりつつも
尊子のデスクが
気になって仕方がない。
「柳くん。
今日、雪路くんは
どうしたんだ?」
「さぁ。
私は何も」
最初から
居ない存在のように
尊子を邪険にして
振舞う返答。
同時に、
扉をノックする音がして
同じ能美が姿を見せる。
「会長、失礼いたします」
丁寧に一礼して、
柳の耳元で
何かを紡ぐ能美。