【B】君の魔法
「二人とも、どうした?」
「会長のお手を煩わせることでは
ありませんわ。
雪路が病院に昨夜搬送されて
今日は出社出来ないそうですわ」
棘を含んだその言い方を受けて、
隣の能美が補足する。
「街中で倒れてたみたいです。
兄が助けて、
病院に連れて行ってみたいです。
兄に、雪路さんの
着替えを頼まれましたので
少し外出させて頂きますね」
ゆっくりと一礼すると、
彼女は秘書室を後にしていく。
尊子が入院した?
追い詰めたのは……
紛れもなく
俺自身……か……。