【B】君の魔法
心を満たすどころか……
罪悪感にも似た
この感情は……何故?
今すぐにでも
仕事を放り出して
彼女の眠る病室に
駆けつけたいと思う俺自身と、
少なからずも
彼女と一緒に居るであろう
能美の兄の存在に
不快感を感じる俺自身。
二人の俺が
せめぎあって
小さくため息を吐き出した。
「会長っ!!」
少し、不機嫌な声で
俺を呼ぶ、静香。
「すまない。
少し考え事をしていた。
今日の予定を教えてくれ」
慌てて、
ビジネスモードに
気持ちを切り替えていく。
その日、一日。
仕事を
淡々とこなしながらも
どこか、
上の空の俺自身。
一日の仕事を何とか
無事に終えた俺を
柳が
いつものように呼び止める。