【B】君の魔法
「おはよう。
雪路さん、
朝から兄が迷惑かけなかった?」
拍子抜けするほどに
笑みを浮かべて
話しかけてくる彼女。
「少し恥ずかしかったわ。
いきなり抱き上げて
階段を上りだすんだもの」
「お兄ちゃん、
そんなことしたの?
ちょっとは……
欲求満たすだけじゃなくて
相手の気持ちも考えて上げなよ。
ったく、デリカシーないのは
昔からの病気みたいなものだから」
彼女にかかると、
祐太の評価は
かわいそうなくらいに
ボロボロで。
祐太に促されるままに、
助手席に乗り込んで、
シートベルトを閉める。
後部座席には……
陽菜と能美さん。
少し前までには
ありえないメンバーで
乗り込んでる車。