【B】君の魔法
睨みつける彼女の目は、
今を俺を脅し
攻め続けるかのように感じる。
「悪い。
さぁ、ドレスを選ぼうか。
俺と君との結婚式だから」
重みも何もない言葉を
サラリと口走って
彼女との時間だけを
ひたすらやり過ごすように
儀式をこなしていく。
「静香が一番、
輝けるドレスを」
デザイナーに
仮面をつけた
優しい笑みと共に
言葉をかける。
満足そうに
不機嫌な姫は……
得意げな笑みへと
表情を変貌させる。
そんな静香を
見つめれば
見つめるほどに
心だけは離れていく。