【B】君の魔法





睨みつける彼女の目は、
今を俺を脅し
攻め続けるかのように感じる。




「悪い。
 さぁ、ドレスを選ぼうか。

 俺と君との結婚式だから」




重みも何もない言葉を
サラリと口走って
彼女との時間だけを
ひたすらやり過ごすように
儀式をこなしていく。





「静香が一番、
 輝けるドレスを」




デザイナーに
仮面をつけた
優しい笑みと共に
言葉をかける。



満足そうに
不機嫌な姫は……
得意げな笑みへと
表情を変貌させる。








そんな静香を
見つめれば
見つめるほどに
心だけは離れていく。


< 219 / 339 >

この作品をシェア

pagetop