【B】君の魔法
「兄さんもそんな、
怖い顔しないでくださいよ」
晃一が
……祐太を兄さんって呼んで……。
何時か……
祐太と結ばれたら……
私が、
晃一のお姉さんで。
馬鹿げた想像をして
すぐに掻き消す。
「それより、
出雲どうしてる?
アイツが、
会長なんだろ」
武流が同級生?
ゆくっりと思い浮かべる
同級生の顔。
それでも……
思いつかない。
武流ほど
目立つ存在なら
忘れることなさそうなのに……。
そんな私の前に、
ゴソゴソっと
晃一は何かを探し出して
開いてみせる。
中学のクラス写真。
「ほらっ、コイツ。
出雲武流」
晃一に指差しされて
説明された写真を
覗き込む。