【B】君の魔法




ゆっくりと……
噛み締めるような
彼女の言葉を
ただ頷くだけで
受け止める。



本来ならば、
彼女の行為は
決して許されるものじゃ
ないのかも知れない。



だが……
今の俺は、
何も言わず
彼女の懺悔の声を
聞き続ける。




「流れたその子は、
 内藤との間の子供よ。

 女ってズルくて弱いわね。

 子供が出来てしまったら
 それを疑う関係があれば、
 男は逃げること
 なんて出来ないわ。

 会長の優しさに
 漬け込んでこの子を、
 貴方の子供だと偽ったの。

 貴方を、お腹のこの子で
 縛り付けて、
 貴方を私のものに出来るから。

 内藤に騙された
 惨めな私の心を
貴方を手に入れることで
 満たせると思った」

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