【B】君の魔法






「尊子さん……。

 答えはもう、
 貴方の中に
 あるんじゃないですか?」





私の両肩に
ゆっくりと手を添えて、
耳元で囁くように呟いて
覗き込む。





それは……
催眠術に陥る瞬間のように
優しく、
ゆったりとした言葉で……
囁かれていく。





「目を閉じて……
 ゆっくりと
 尊子さんの世界を
 外へと広げていったとき、
 何が浮かびますか?」





奏音さんに
促されるままに
暗示にでもかかったように
その通りに目を閉じて
浮かび上がる
思いを読みとる。
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