【B】君の魔法
心に鍵をかけて
外の世界を遮断しながら
王子様を
待ち続けるなんて
現れるはずなんて
ないじゃない。
本当に
望んでいるものではなくて、
憧れているだけなんだもの。
「素直になれたら……」
「何?」
小さく呟いた言葉を
陽菜がキャッチして
私のほうを覗き込む。
「素直になれたら……
今とは違う時間を
歩き出せるのかな?」
「今とは違う時間?」
「そう。
ちゃんと自分の足で
この世界にたって
正面から……
世界と向き合うことが
出来るのかしら?」
その問いかけに……
奏音さんも、
心も陽菜も華南も……
柔らかに
微笑み返してくれた。