【B】君の魔法
「ほらっ、行って来なよ。
会長のところ……。
武流さんとこ、行って来るんでしょ。
素直に伝えて、
玉砕したら、今度はいっぱい泣きなよ。
その時もまた、皆で
慰めてあげるからさ」
陽菜がそう言うと、
私の背中をゆっくりと
踏み出しやすいように押し出した。
そのまま……
後ろを振り返らずに
ただ心のままに
走り出す。
振り乱す髪も、
気にする間もなく……。
彼がいるであろう……
あの場所に……。