【B】君の魔法
一本奥通りの
細い道を進めた先に
目的の建物はあった。
目の前に車を止めて、
その建物の
彼女の部屋へと向かう。
窓から
零れる灯りはない。
オートロックも
管理人の常駐すらない
小さなマンション。
そこが……
彼女の住む場所だった。
彼女の家が
望める場所に
タクシーを止めて
彼女の帰りを
車の中で
待ち伏せする。
ストーカー
じゃないんだから。
あまりの
俺自身の行動に
自嘲しながら
彼女を待ち続ける時間。