【B】君の魔法





「タイミングを
 計ってた……。

 俺は……
 受理するつもりもないし
 君を手放すつもりも……」





尊子の目の前で
ゆっくりと
破り捨てようとした退職願。



俺のその手を、
彼女がゆっくりと自分の手を
重ねて制した。





「武流。

 その退職願は、
 会長として
 受理してちょうだい。

 私の中の貴方は、
 もう会長じゃないもの。

 私は、会長じゃない
 貴方の隣で、
 ゆっくりと微笑むから」




彼女が、
柔らかに微笑む。



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