【B】君の魔法
そして……
もう一人のヤツは、
俺を挑戦的に
睨みつけてくる。
「会長だか何だか
しんねぇが、
今度、尊子を泣かせたら
一発殴るから、
そのつもりで」
お腹に力を込めて
思いトーンで
宣戦布告された言葉。
「肝に銘じておくよ。
営業部の
岡崎だったね」
苗字を
口にされた途端、
少し怯えた素振りになる
彼と、そんな彼を叱咤する
尊子の女友達・陽菜さん。
そんな二人と別れて、
ゆっくりと
車に乗り込むと
屋敷へと車を走らせた。
秘書の仮面を脱いで、
ただの……雪路尊子として
隣に座り続ける彼女。