【B】君の魔法




屋敷に帰ると、
嬉しそうな笑みを浮かべて
俺たちを迎え入れる中野。




支度された、
ディナーを食べ終えて
静かにフォークを置いた後、
ゆっくりとポケットの中から
小さな箱を取り出して、
テーブルの上へと置く。







「……武流?……」





少し、
首を傾げながら
名前を紡ぐ尊子。




もう一度、
その箱を手に取ると、
今度は彼女の手の中に
ゆっくりと握らせる。





彼女は、
ゆっくりと
その小さな箱を
開いていく。





箱の中から姿を見せたのは、
十一葉のクローバーの形を
施された、
ダイヤモンドの指輪。


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