【B】君の魔法
「OK。
なら、今から俺の行きつけの
店に案内するよ。
有村のビルなんてどう?」
有村ブランドの
本社の一角にある
VIP専用の特別店。
その言葉の後、
彼女の顔が
少し嬉しそうに
微笑んだ。
「決まりかな」
携帯を取り出して、
連絡をして、
予約を取り付けると
そのまま
ゆっくりと車を走らせた。
彼女は昨日と同じように
車窓から眺める景色に
目を向けている。
この場所に居るのが
当然のような
表情をしながら。
そんな彼女を
見つめながら
俺自身の心は
満たされていく。
乾きすぎて
満たされることのなかった
心が……
醜い優越感で満たされていく。