【B】君の魔法
車は有村の
駐車場へと到着する。
本社のエントランスに
顔を出した途端
有村の重役たちが
一斉に顔を揃えて
出迎える。
「いらっしゃいませ。
出雲さま」
最敬礼の挨拶と共に……。
「突然、
連絡してしまってすまない」
「出雲さま、
こちらは……」
スタッフの視線は
彼女の方へ。
「こちらは、
雪路尊子さん。
今、俺が口説いてる
真っ只中の存在。
一番気になってる人だよ」
少し茶化すように
紡いだその言葉に
彼女は、
ちょっぴり不機嫌そうな
表情を浮かべる。
それもまた一瞬で
すぐに
表情が移り変わる。