【B】君の魔法



「決まった?」

「えぇ。
 素敵なデザインを
 見つけたの。
 私、お会計してくるわ」


満足そうに微笑んで
会計に向かおうとする
尊子の隣、
ゆっくりと寄り添って
レジまで向かう。


彼女が出す財布に
スーっと掌をあてて、
自分のカードを
スタッフに手渡す。


彼女は驚いたように
俺を見て、
戸惑ったような
表情を浮かべる。


「今日は俺が……。
 一日に、付きあわせて
 しまうお礼だよ」


さりげなく伝えた
その言葉に
彼女はまた……
表情を切り替えた。





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