妖鬼幽伝
銀零が呟くようにハツに尋ねれば、ハツはこくんと今にも泣き出しそうな顔で頷いた。
今までにも幽霊やら妖やら色々見てきたが、あんなに怖い目にあったのはあの日以来だった。
「っ・・・・・ぅぇ・・・」
一気におとずれた疲れに、もう大丈夫だと実感したハツは糸が切れたように泣き出した。
「ぅぅ・・・ふっ・・・、!!」
「泣くな」
声を押し殺して泣き続けていたハツを、いつの間に現れたのか銀髪の着物を着た男が抱きしめていた。
あまりに突然なことに涙が引っ込んだハツは、状況を把握すると恥ずかしさから顔が赤くなるのを感じた。
「えっ・・・だ・・・もしかして狐さん?///」
「他に誰がいる馬鹿者」
「えっだって・・・さっきまで狐・・・」
「俺は狐は狐でも神様じゃぞ。
本来俺はこの姿じゃ」
「かっ、神様!?」
まさかのカミングアウトに驚くハツだったが、そーいえば力がとーのこーのと言っていたことを思い出した。
と、同時にハツは自分がこの狐に狙われていたことを思い出した。