妖鬼幽伝
慌てて離れようとしたが、それに気づいた銀零が腕に力を込めて離れないようにした。
「なぜ逃げようとする」
「君、私を食べようと思ってるんでしょ!?」
「・・・・・・それはやめじゃ」
「えっ・・・」
必死に離れようとしていたハツは銀零の言葉にピタリと動きを止めた。
「止めた・・・て・・・」
「お主に興味が湧いた。喰わなくてもその内力は戻るしのう」
「そ、そう・・・」
自分のどこに興味が湧いたんだ?と不思議に思っていたハツ。
「なぁに安心せい。興味が無くなったら喰ってやる」
「(どこが安心!?)」
ケラケラと笑いながらあっけらかんに言った銀零にちょっぴり警戒心がまた芽生えたハツだった。