妖鬼幽伝
日常から非日常から日常
――――へぇ、ハツちゃんっていうのかい?
――――大丈夫さ。ちょっとおじさんと一緒に行くだけだから。ママにはおじさんから言っといてあげるよ。
――――恐がらなくていいよ、さぁおいで?
――――ピピピピピッ
「・・・・・・あー・・・」
布団から腕だけ出すと、ハツは枕元にある時計のアラームを止めた。
「眠いよ〜・・・ホントに眠・・・ぐはっ!!」
「ぐだぐだ言ってないでとっとと起きんか」
「ぎっ・・・銀零、おもっ・・・てなんで地蔵様!?」
一向に起きる気配のなかったハツの上に飛び乗った銀零は、何故かお地蔵様の姿だった。
それに異様に思いと思っていたハツはビクッと驚いた。
「お主が何時までも起きんから起こしてやったんじゃろ。ありがたく思え」
「もっとソフトな起こし方は出来ないわけ!?」
地蔵から普段の狐(ハツには犬に見える)に戻った銀零は澄まし顔で言う。
「それよりも、時間はいいのか?」
「はっ!!」
銀零に言われて時計を見れば、もう遅刻ギリギリの時間になっていた。
そこからのハツは、素早かった。