妖鬼幽伝
「はー・・・なんとか遅刻せずにすんだよ」
「俺に感謝するんだな」
「起こし方がもっと良かったら感謝したよ」
屋上で昼食をとるハツの横には銀零の姿が。
妖鬼幽伝が心配だからだと勝手についてきていたのだ。
「それより君、いい加減帰ったら?学校に狐がいたら山に帰されちゃうよ?」
「俺を誰だと思っとる。いざとなれば姿くらい消せる」
お弁当を片付けながら気遣うようにハツが言っても、なんてことない感じの銀零。
ペット連れてきてるって思われるのもアレなんだけど・・・。
「それより、妖鬼幽伝はどーした?」
「朝から煩く、肌身はなさず持っとけって誰かさんが言うから持ってきてるよ」
教室からリュックごと持ってきていたハツは中から取り出して見せた。
「でも、この紐で紙を束ねてるのに、封印するときはこの紐を使うんだよね?」
「そうじゃが?」
「私がこの紐を解いて、封印が切れたんなら使うときどーするの?」
封印するとき紐は使うでしょ?
とハツが問いかければ、銀零は露骨に顔をゆがませた。
あ、説明面倒だと絶対思ってる・・・。