妖鬼幽伝
「・・・・・・縛り縄は本来、封印の鍵の役割をしとる」
「めちゃくちゃ渋々感がアリアリだけど、説明してくれるんだ」
「縛り縄を扱えるのは、縛り縄と血の契約を交わしたものだけじゃ。それ以外の奴が使っても、ただの紐にしかすぎん」
「へぇ・・・」
「だから、血の契約を交わしたお主が、幾ら結ぼうが解こうが封印紙には何の影響も及ばん」
「だけど、私縛り縄解いちゃったよ?」
図書倉庫での事を思い出しながらハツが不思議そうに言うと、銀零は小さく息をはいた。
「・・・お主、あの時本に埋もれておったじゃろ」
「う、うん・・・」
「この縛り縄には唯一の弱点があってな。それが聖書なんじゃよ」
「・・・・・・」
えっ、聖書?
「丁度、崩れた本の山の中に聖書があったようでな。
それが縛り縄に触れているところを、力のあるお主が引っ張るから解けたのじゃ」
「・・・・・・そーいえば私、昔から運がなかったんだよな」
そんな偶然が巻き起こるなんて・・・・・・。
遠い目をしながらハツはハハハと渇いた笑いを出した。