妖鬼幽伝
歩き出したハツは周りの変化にうわぁ、とちょっと感動していた。
廊下を進んでいっても階段が見えてこない、理科室があるはずの教室は何故か体育館につながっていた、階段をおりていたのに最上階についていた、など、もはやアトラクションに迷い込んだみたいでちょっと楽しんでいた。
「何を楽しんでおる」
「だからって地蔵様になって乗っかからないでっ!!」
ミシィ・・・とハツに地蔵になってのしかかった銀零。
「さっさと帰って油揚げを食うんじゃ。ボサッとすんなノロマ」
「ノロマっ・・・!?」
ガンッとショックを受けたハツにかまわず、銀零はすました顔でいた。
「で、でも空凪って一体何処にいるの?闇雲に捜したって・・・」
「空凪は空間を操ることができるが、必ず一カ所に綻びをつくり身を潜めている」
そこを探し当てれば捕まえたも同然と銀零は言う。
そんな銀零をへぇ、とハツは見る。
「銀零って色々詳しいんだね」
「当たり前じゃ。俺を誰だと思っとる。神様じゃぞ」
「・・・・・・」
「まさか、忘れていたとは言わせんぞ・・・?」
「まっ、まさか!!覚えていたよ!?うん!!」
再び地蔵に化けて飛び乗りにスタンバった銀零に慌ててハツは言うが、ぶっちゃけ忘れていたし気づいていた銀零は飛び乗りこそはしなかったものの地蔵の姿で跳び蹴りを喰らわした。