妖鬼幽伝
それから数10分、あちこちを捜しまくったハツだったが銀零が言う綻びらしきものは見つからなかった。
「ホントに綻びなんてあるの・・・?」
「ある。お主は俺を信じんのか?」
「ごめんなさい信じます」
疑ってきたハツにトゲトゲしい鉄球に化けた銀零に土下座をしながらハツは言った。
「・・・だが、ここまで捜して見つからないのもおかしい」
「?結構簡単に見つかるものなの?」
「ああ。綻び自体を見つけるのは簡単じゃが、そこから空凪を引きずり出すのが大変なんじゃ」
しかしなぜ・・・と考え込む銀零をじっと見ることしかハツには出来なかった。
「(・・・・・・綻びかぁ・・・)」
ぽつりと考えると、ゆっくりと立ち上がりハツは窓に近づいた。
「(どこにあるんだろ・・・)」
ぼーっとしていたハツに気づき声をかけようとした銀零はハッと固まった。
しかしすぐ後、ニヤリと口元を歪め笑った。
「見つけたぞ空凪」
「え・・・!?」
銀零の言葉にハツは驚いていた。