妖鬼幽伝
「・・・もう今日は帰ろ」
はぁ・・・と溜め息を吐きながらハツは言うと、足下に置いていたリュックを肩にかけた。
「なんじゃ、まだ二時限目だぞ」
「いーよ。いてもどーせ授業出ないし」
銀零に返事をしながら屋上と校舎内を繋ぐ扉へと歩き始めたハツ。
首を傾げながらも銀零はハツの後ろへとついて歩き始めた。
「ちょっと待って。まさか銀零ついて来るき?」
扉に手をかける前にハツは振り向き銀零を見下ろしながら尋ねる。
「そのつもりじゃが?」
「ちょ、やめてよ!好奇の目に曝されるじゃん」
「安心せい。お主以外には俺は見えんからな」
「えっ・・・そーなの?」
ぱちくりと目を丸くするハツ。
「この姿はいわば省エネ状態。妖力が足りんから、見せたくても見せられんのじゃ」
ま、お主のように霊力が高い奴には見えるんじゃがな、と銀零は言う。