妖鬼幽伝






「そら、わかったらとっとと開けろ」



「う・・・わかったよ」







銀零に急かされハツは渋々扉を開けると、銀零の言葉を信じて階段を一段一段おりだした。


丁度その時チャイムが鳴り、廊下にハツがついた頃には騒がしくなっていた。







「(スゴい・・・ホントに誰も銀零を気にもとめてない)」







周りをキョロキョロとしながら生徒を見るが、特に変わった様子はなかった。


隣を歩く銀零を見ればふふん、と得意気に笑われちょっとカチンときた。







「あっ、澤田くん!!」



「げっ」







廊下の先で女子にキャーキャーと騒がれながら囲まれていた一人の男子生徒。


体操服姿ということは、先程までグラウンドで体育をしていた生徒の一人だろう。


その生徒はハツを見つけると嬉しそうに笑いながら名を呼んだが、ハツは心底最悪そうに顔を歪めた。







「?」







そんなハツを不思議そうに銀零が見ている最中に、生徒は女子たちに二三言話すと残念そうな女子たちの声を背にハツへと近寄ってきた。


その間もハツは仏頂面だったが。




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