妖鬼幽伝






「やあ澤田くん、久しぶりだね」



「はあ・・・」







爽やかに挨拶をする生徒に生返事をするハツ。







「さっき屋上で僕の有志を見ていてくれて、僕は感激で胸がいっぱいだよ」



「別に夏騎先輩を見ていたわけではないんですケド・・・」







うんざりとしながらハツが話す相手は夏騎波瑠(ナツキハル)。


ハツの高校の現生徒会長を務めており、ハツの先輩だ。







「手を振ったらすぐに屋上からいなくなったから、僕に会いに来てくれるんだろうと待っていたんだよ」



「いえ全くの勘違いです」



「さっき女の子たちに囲まれていたが、僕には澤田くんしかいないから安心してくれ」



「全くもって安心できません。嬉しくないです」



「おや、かばんを持ってもう帰宅かい?」



「(話が変わった・・・)ええ、そうです。だからさようなら」






事務的に挨拶をしてその場を去ろうとしたハツの腕をガシッと夏騎は掴んだ。







「よし、僕も一緒に帰ろう!」



「はあ!?」





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