妖鬼幽伝
「銀零、力がどーのこーのは?」
電車が来るまでの時間、ハツは駅で銀零に聞いていた。
「前回の空凪の分があるから余裕じゃ」
無表情にVサインを決めた銀零に、くそ、やっぱりかっこいいとハツはなんとなく悔しがっていた。
「・・・ねぇ、なんだってこの時間帯の電車に?」
お昼過ぎ頃に来ていたハツだったが、銀零に言われ切符は四時頃に買っていた。
「この時間帯だったじゃろ?被害者が出ているのは」
「・・・・・・えっ、まさか・・・」
「犯人に逢えるといいのぅ」
キラキラとした笑顔を浮かべながら銀零が言ったその時、ちょうど電車がついた。
それとハツが顔を青ざめるのは同時だった。
「ちょっと待って!私まだ死にたくない゛!!」
「さっさと乗らんか」
拒んだハツを容赦なく蹴飛ばして電車の中に入れた銀零。
思いっきり注目の的だった。