妖鬼幽伝




三階の渡り廊下に差し掛かった時、突如辺りに響いたかん高い音。
それは、窓ガラスが割れた音だと気づいたのは、自分の腕がガラス片で切った時だった。







「いっ・・・たぁ・・・」







思わず立ち止まったハツは、何故ガラスが突然割れたんだと驚きながら窓へと視線をやった。






「ヒッ・・・・・!!」







視線をやったハツは、こみ上げた悲鳴を寸前で手で止めた。
窓の外には、長いボサボサの黒髪に白い着物。顔には誰もが不気味と思うようなお面がつけられていた。







「(に・・・逃げなきゃ・・・)」







一歩下がった時、ハツは落ちていたガラスをバキ、と踏んでしまった。
しまった!と思った時には遅く、窓の外のソレはぐりんと首をハツへと向けた。

それを最後まで見る前にハツは来た道を全速力で戻りだした。
さっきみたいに振り返りながらなんて余裕はなかった。




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