妖鬼幽伝
走って走って、目の前にあった教室に無我夢中でハツは飛び込んだ。
そしてすぐに鍵をかけると教室の角へと丸まった。
「はぁ・・・はぁ・・・な、なんだったの・・・アレ・・・」
「アレは魔見夜(マミヤ)という妖じゃのぅ。魔を見る事が出来るあやつは、人間に魔を与えて弱らせることで人間を喰らっている」
「な、なんでそんなのが・・・・・ん?」
隣を見たハツはぎょっとした。
「ききき、狐!!」
「さっきぶりじゃな」
「きゃあ・・・むぐっ」
悲鳴をあげようとしたハツの口を狐が前足でおさえた。
「今大声を出すと、あやつにバレるぞ」
「む、むぐっ・・・」
頷いたハツを確認すると、狐は前足をどかした。
「鈍臭そうな外見に似合わず足の速い奴じゃなぁ。やっと見つけたと思えばあんな奴に狙われていて・・・」
「ど、鈍臭そうな・・・」
狐の言葉に軽くショックを受けたハツだった。