不器用なLOVESONG♪
一条組
「………」
あたしは一条組の門の前まで来た
もう辺りは暗くなっていて
少し肌寒いくらいだった
「……行こう…」
あたしは自分に言い聞かせるかのように
一人つぶやいた…
この門を一人で開けたことがない
いつも門は開いていて
あたしの子分が待っていてくれる…
だけど今日は違う…
自分でこの門を開けるんだ…
自分の閉まっていた心を開けるように…
キィ……
ゆっくりと門が開く
ガタ…バンッ
開いた門はすぐさま閉まった
閉まる音がやけに寂しく
夜空に響いた
「…おかえり」
音で気づいたのか
おじいちゃんが玄関に出ていた
「…ただいま…」
「誠也と会わなかったのか?」
「えっ!?」
「お前を探しに行ってしまったよ?」
嫌な予感がする…
そういえば
今朝もモヤモヤしていた…
ダッ
あたしは黙っていられなかった
開けたばかりの門をまた勢いよく開け
あたしは走った…