Colorless Life
　休み時間、優希のクラスに行って数学のノートを貸してきた。

　優希は昔から数学が苦手で、いつも四苦八苦していた。
　だからって私のノートを見たところで何も変わらないような気もするんだけどな・・・。
　それでも貸して欲しいというんだから・・・、まぁ、いっか。

　教室に戻ってくると私の席に、例の真田君の友達の男の子が座っていた。
　彼は真田君に向かって何か楽しそうに話していた。

　あの子・・・、真田君のことほんとに好きなんだろうなぁ～。
　きっと、真田君が本当はどんな人なのか分かっているからこそだと思った。

　「かぁー！もーう！お前冷めすぎ！そういう偶然を運命って言うんだろ！全くお前は～、もっとこう、なんというか～・・・。」
　彼はなにか真田君に対して熱弁を振るっているようだった。

　私が歩いて行くと、その子は私に気がついて立ち上がった。
　「よっ！朝倉！俺、藤村って言うんだ！勇治とは中学からの親友なんだ。よろしくな！」
　「あ、朝倉です。よろしくね。」
　「それじゃあ俺は退散しますかね！またな！勇治！」
　藤村君は廊下に出て行った。

　「なんか、忙しい人だね。」
　「ああいう奴なんだ・・・、昔から。」
　真田君も藤村君にだけは唯一心を開いているところを見ると、やっぱり２人は親友なんだろうなぁ、なんて思った。

　席について化学の授業の用意をしていたら、チャイムが鳴って化学の先生が入ってきた。

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