Colorless Life
 少し落ち着いてきた新田さんと駐輪場まで歩いていった。

 「大丈夫・・・・?」
 新田さんはうつむいたまま頷いた。
 「うん・・・・。」
 彼女は自転車を用意してサドルにまたがった。
 「朝倉さん・・・、本当にごめんね・・・・。また来週・・・・。」
 「うん・・・、ばいばい・・・・。」
 彼女は弱弱しくペダルをこいで校門を出て行った。

 帰り道、写真を見つめたまま歩道を歩いていた。
 新田さんの言葉が何度も頭の中で繰り返されていた・・・。

 “勇治君を苦しめないで!”
 “勇治君には近づかないで!”

 ・・・・・・・・・・。
 やっぱり・・・、その方がいいのかな・・・・。
 私がいると真田君が笑えないなら・・・・、私は・・・・。
 はぁ・・・・、どうしよう・・・・。

 その時。突然誰かに右腕を強く後ろに引っ張られた。
 「きゃっ!!」
 それと同時にスポーツカーが、クラクションをけたたましく鳴らしながら通り過ぎていった。
 「あっ・・・・。」
 横断歩道の信号は赤だった。全く気がつかなかった・・・・。

 真田君が私の右腕を握ったまま、血相を変えて立っていた。
 「はぁっ・・・、はぁっ・・・・。なにしてんだ!!馬鹿野郎!!死にたいのか!!」
 「ご、ごめん・・・なさい・・・。」

 私が恐縮すると、真田君は大声を出した自分を落ち着かせようとしたのか、振り返り、後ろに乗り捨ててきた自転車を起こした。
 「と、とにかく気をつけろ・・・・。」
 「う、うん・・・。ありがとう・・・。」
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