Colorless Life
 真田君の言葉のひとつひとつがズキンズキンと私の心に響いてきた・・・。

 そしてその度に、蓋をしていたはずの箱から少しずつ何かがあふれてきた・・・。

 そのあふれ出てくる何かに答えるように、私は咄嗟にチョークを持って黒板に向かった。
 真田君の言葉を夢中で黒板に書きなぐっていった。

 「ゆ、勇治!落ち着け!」
 藤村君の声が聞こえたけど、振り向かずに書き続けた。
 「国があの男を殺さないなら・・・、俺が殺してやる・・・。」
 「勇治!!」

 「理不尽に殺された人の気持ちも、それによって残された人の気持ちも分からない癖に・・・・、無責任なこと言うんじゃねぇぇぇぇっ!!!!!!」

 真田君は、そのまま教室を飛び出していった。
 教室は静まり返っていた・・・。
 私のチョークの音だけがカツカツと鳴り渡っていた・・・。

 全て書き終えてゆっくり振り返った。
 藤村君が立ったままうつむいていた・・・。
 他のみんなも椅子に座って机を見ていた。そして、先生も・・・。

 「先生・・?」
 私が声をかけると先生はあわてた様子で私を見た。
 「あっ・・・、えっと・・・・。」
 先生は完全に動揺していた。きっとこんなこと今までに経験したことがなかったんだろうな・・・。
 「と、とりあえず今日の自由授業は・・・・、こ、これで終わりにしましょう・・・・。」
 先生の言葉で、クラスのみんなもゆっくりと立ち上がって帰り始めた。
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