Colorless Life
 藤村君も、新田さんも、真田君を必死に助けてあげようとしている・・・。
 それは真田君が本当は、心がきれいでみんなから好かれる人だって証・・・。

 「あぁ~あ、どうしたらいいかなぁ~・・・・。」
 「真田君は幸せ者だね・・・。」
 「ん~・・?」
 「藤村君からも、新田さんからもこんなに心配してもらって、本当に幸せ者だよ。」
 「はははっ、俺も明美も勇治の笑顔に助けられてるからかなぁ~・・。」

 私もって言おうとしたけど、あの思い出はなんとなく私の中だけに留めておきたかったから、私は笑顔を返すだけにした。

 「とりあえず、私にできることがあったら何でも言ってね!いつでも協力するよ!」
 「おぉ~。頼もしい~。ありがとな~、朝倉~。」
 私たちは笑った。

 窓から差し込む夕日が私たちの笑顔をやさしく見守ってくれていた。

 藤村君と校門で別れて、私はまた1人で歩いていた。
 雨が降り出したから、傘をさした。

 真田君を笑顔に・・・か・・・。
 今の私が彼にできることって・・・、何があるんだろうなぁ・・・・。
 今の彼は心に大きな影を背負って、そこから抜け出せないでいる。
 まずは前を見てくれなきゃ、笑顔なんてありえないんだろうなぁ・・・。

 傘に当たる雨音が聞こえないほど考え込んでいた・・・。

 そして私が石段にさしかかった時だった・・・。
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