Colorless Life
 「ちくしょおおおおおおおおおおおっっ!!!!うああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!」
 墓地全体に響き渡るほどの声が聞こえてきた。

 ・・・・・・・・!!!
 こ、この声・・・・・・・。
 ・・・・まさか・・・・・。

 抑えきれない不安にかられて石段を駆け上がり、声のした方を見た。

 ・・・・・・・・・。
 ・・・・真田君・・・・・。

 彼は傘もささずにびしょぬれになって、お墓の前に突っ立って泣いていた。

 ・・・・泣いてる・・・・。

 私は無意識で彼の所へ歩いていっていた。
 真田君は全く気がつかなかった。ただひたすら下を向いて泣いていた。

 その姿は、言葉にならないほど切なく悲しく、私は見ているだけで胸が締め付けられた。

 雨に流されて消えていってしまいそうな彼に近づき、そっと傘を差し出した。

 「風邪・・・ひいちゃうよ?」

 真田君ははっとしたように私を見て、すぐさま顔を背けて涙をぬぐった。

 ・・・・・・・・。

 彼は下を見たまま後ろに下がった。
 「俺はいいから・・・。自分がぬれるよ・・・。」

 ・・・・・・・・。

 私は1歩前に出て、再び彼を傘に入れた。
 「・・・・・。」
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