Colorless Life
　「あ、水野君～。」
　優希が水野君に声をかけた。ドキッとした・・・。

　そういえば・・・・、返事・・・何も考えてなかった・・・。

　「水野君！聞いてよ！詩織ったら、今日疲れてた訳、親友の私にも話してくれないんだよ～！」
　「はははっ、そっか・・・。」
　水野君は優希に微笑みかけると私の方を見た。

　「み、水野君・・・、も、もう少し待って・・・・。」
　小声で申し訳なく言うと、水野君は笑ってくれた。
　「そんなに気にすんなよ。いつでもいいって言ったろ。」
　「う、うん・・・・。」

　意味深なこの会話を聞いて優希はますます興奮した。
　「ちょっとぉ！なんか私だけ置いてけぼりにされてない！？」
　「あははっ、優希は気にしすぎ！それじゃあまたね！」
　私は、まだ納得のいかない様子の優希と水野君に手を振って帰路についた。

　返事・・・、ちゃんと考えよう・・・。いつまでも待たせておくのも申し訳ないもんね・・・・。
　普段より少し早足で歩いて帰った。

　いつもの通り夕飯を３人で食べていると、またおばさんが声をかけた。
　「詩織～、悩み事は話した方がすっきりすると思うな～。」

　はっと気がつくと、昨日と同じ体勢で固まっていた。
　「ひゃっ！」
　小さく変な声が出た。おじさんもおばさんも笑っていた。
　恥ずかしくなって、うつむき加減にご飯を食べた。
　「言ってみなさい。私たちは詩織よりも人生経験は豊富だよ？」
　おじさんもやさしく語りかけてくれた。
　「・・・・・。」
　黙っている私におばさんも微笑みかけてくれた。
　「詩織～。」
　もはやこれまでと観念して、話すことにした。
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