Colorless Life
 「ふぅ・・・。ちゃんと伝えられてよかった・・・。」
 安堵とともに、切なさが込み上げてきた。

 “今の彼の中にいるのは私じゃない”

 自分が放った言葉が、ブーメランのように自分に返ってきた・・・。

 今はそれでもいい・・・。彼が笑顔になってくれるなら・・・。
 そう自分に言い聞かせ、深呼吸して気持ちを入れ替えて教室に走って戻った。

 「ごめん、お待たせ。」
 教室に入ると新田さんがいることに気がついた。新田さんも私に気がついた。
 「あ、朝倉・・・さん・・・。」
 「あ、こんにちは・・・・、新田さん・・・。」

 新田さんには、真田君に近づかないように言われているんだよね・・・・。

 「結構時間かかってたね。」
 「う、うん・・・。部活の練習日を教えてくれることになってたんだけど、その後ちょっと話してたから・・・・。」
 「そっか・・。んじゃ、さっきの話の続きするけどいい?」

 「えっ・・・、真田君・・・朝倉さんと一緒に・・・勉強してたの・・・?」
 新田さんのその言葉が、私の心にズキッと突き刺さった。
 気まずくて新田さんと顔を合わせられなかった。

 「ん?うん。ちょっと前からだけどな。」
 「・・・・・・。」
 「そっか・・・。じゃあ、頑張ってね・・・・。朝倉さんも・・・、またね・・・。」
 「うん・・・、またね・・・。」
 新田さんの言葉には明らかに元気がなかった。

 そりゃそうだよね・・・。自分の好きな人が2人きりで他の女の子といたらつらいよね・・・・。

 でも・・・・。私も・・・、真田君のこと・・・・。

 「朝倉?座らないの?」
 真田君の無頓着な一言で我に返った。
 「あっ、うん。ごめんね・・・。」
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