Colorless Life
 さっき座っていた席に座ろうとして少し考えた。
 新田さんのことを考えたら、ここに座るのは少しかわいそうな気がした・・・。
 椅子を戻して自分の席に座った。

 「明美となんかあった?」
 真田君が不思議そうな顔をして私に声をかけた。
 「ううん・・・、なんでもない・・・。よし!さっきの続き教えて!」
 「あぁ、うん・・・。」

 はぁ・・・・。真田君のばか・・・・。

 真田君の説明を聞いた後、私たちは各自自習を始めた。

 「そろそろ帰ろう。だいぶ暗くなってきたし。」
 真田君の声が、静寂漂う教室に響いた。外は暗くなっていた。
 時計を見ると6時を過ぎていた。結構集中してたんだ・・・・。

 「うん・・。そうだね・・・。」
 帰り支度を始めた。
 教室は再び静寂に包まれた。

 この時私は、既に決意を固めていた・・・。
 真田君に・・・、思い切ってぶつかってみることに・・・・。

 教室の明かりを消して、廊下に出た。
 2人で黙って廊下を歩いた。聞こえるのは私たちの足音だけ・・・・。

 下駄箱付近まで来た時に、決心を再度確認して立ち止まった・・・。
 「ん?忘れ物でもした?」
 立ち止まった私に気がついて、真田君は振り返った・・・。
 「・・・・。」
 「あれ?どうか・・・した・・・?」

 様子のおかしな私を気遣ってくれたのか、真田君が私の方に歩いてこようと1歩踏み出したその時・・・。

 「沢木・・・遥さん・・だっけ・・・。」

 「・・・!!?」
 私の突然の言葉に真田君は立ち止まった。
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