Colorless Life
 たとえどれだけ驚いても、彼の瞳から目を離したくなかった。
 彼も怒りと悲しみの瞳を私に向けた。

 「なんなんだよ!俺がどうしようと俺の勝手だろ!朝倉には関係ないじゃないか!!」

 ・・・そんな事・・・言わないでよ・・・・。
 泣きそうになるのを必死でこらえて真田君を黙って見つめていた。

 「所詮、朝倉だって他人事だろ!分かった様な事言ったって綺麗事なんだろ!!」
 「ち、違うよ!私は・・・」
 「違わないさ!大切な人を失った人間の気持ちなんて、失ったことない奴に分かる訳ないじゃないか!!」
 「わ、私だって!!私だって・・・・。」

 ・・・・・!!!
 出てきそうになるその先の言葉を、無理やり喉の奥まで押さえ込んだ・・・。
 これだけは絶対に言いたくなかった・・・。
 これを言ってしまったら、今までの私の努力が全て台無しになる気がしたから・・・・。

 開きそうになった過去の箱の蓋を懸命に押さえていると、彼は・・・・。

 「もうほっといてくれ!俺の気持ちは朝倉には絶対に分からない!!遥の事はもう2度と口にするな!!!」

 ・・・・・・・!!
 ・・・・・・・・。

 真田君は校舎を走って出ていった・・・。

 ・・・・・・・・・・。

 足の力が抜けて、その場に座り込んだ・・・。

 “俺の気持ちは朝倉には絶対に分からない!!”
 その言葉が心の中を無情に駆け巡った・・・。

 心の箱を押さえつけていた手が緩み、とうとう過去の記憶が涙とともにあふれ出てきてしまった・・・。

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