Colorless Life
 部活動が終わって、更衣室で優希に肩を叩かれた。

 「ん?何?優希。」
 「何?じゃないでしょ~。詩織どうしちゃったのよ~。」
 優希は私の両ほっぺをグイッとつかんだ。

 「あふぁ~~~、いふぁい~~~。」
 「元気がないの見え見えだよ~。何があったのか話しなさいよ~。」
 「あはは・・・。なんでもないよ~・・。」
 やっぱり優希には、どんなに頑張ってもばれちゃうよね・・・・。

 「なんでもなくないでしょ~!聞いてあげるから早く言いなさいってば~!」
 「ほ、ほんとになんでもないよ!優希、ありがとね!」

 私のことを気遣ってくれる優希の優しさがうれしくて、涙が出そうになった・・・。
 慌てて着替えて更衣室を出た。

 校舎の前を校門に向かって歩いていた。

 はぁ~・・・、やっぱりばれちゃった・・・。
 そりゃそうだよね・・・・。優希だもんね・・・・。
 どうしよっかなぁ・・・・。
 こんな顔しかできないなら、しばらく部活休もうかなぁ・・・・。

 そんなことを考えて歩いていると、正面から誰かが私服で走ってくるのが見えた。

 「・・あっ・・・・。」
 思わず声に出して立ち止まってしまった。

 「さ、なだ・・・君・・・。」

 どうしたらいいのか分からなかった・・・。
 昨日のことを思い出したら、目を合わせられなかった・・・。

 「はぁはぁ・・はぁはぁ・・朝倉・・・。」
 真田君はそう言って、しばらく呼吸を整えていた。

 ふと見ると、真田君の頬が少しぬれているのに気がついた。

 ・・・・えっ・・・・?
 真田君・・・・、泣いてる・・・・?
 顔を少し覗き見ようとした時。

 「朝倉!!」
 ビクッとして真田君の目を見た。
 やっぱり目が潤んでいた。泣いてたんだ・・・・。

 「ごめん!朝倉!本当にごめん!!」
 突然謝られて戸惑った。
 真田君の旋毛をただ黙って見つめていた・・・。

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