Colorless Life
 「私が・・・もっと頑張ったら・・・、お母さんにもっともっと・・・色んな事してあげてたら・・・、お母さんは元気になったかもしれない・・・。そしたら・・・お母さんと2人で・・・。」

 目の前の私たち3人はみんな笑顔でとても幸せな顔をしていた。
 このまま私もそっちに行きたい・・・・。そんな気持ちにさせられるような笑顔・・・。
 ・・・だけど・・・・。

 「でもね!!」
 全てを振り切る気持ちで、振り返って真田君を見た。

 彼の顔を見て、改めて思い出した今日ここに来た目的・・・。
 そう、それは彼の笑顔を取り戻すこと、そして私自身も気持ちの整理をすること・・・!

 「私がどれだけ後悔しても、どれだけ泣いても・・・お母さんもお父さんも帰ってこないの!あの頃の生活はもう・・・何をしたって取り戻せないの!!」
 「・・・・・・。」
 「だから私は決めたの・・・。この場所を笑顔で見られるようになるまでは、ここには絶対に戻らないって・・・。とにかく、がむしゃらにでもなんでも前だけ見て笑って生きていこうって!」

 ぼろぼろと涙を流しながらこんなことを言ってしまっている自分のことなんて気付かないくらい、私は必死だった・・・。
 必死に真田君の心と会話しようとしていた・・・。

 「だってそうでしょ!お父さんもお母さんも私が後ろ向いてぐずぐずしてる姿なんて見たくないよ!自分の人生を笑顔で前に進んでいってほしいって思ってるよ!2人とも私のことすごくかわいがってくれたから!すごく大切にしてくれたから!!」

 “私をこの悲しみから救ってくれたのは、他でもないあなたの笑顔なのよ!”
 本当はそう叫びたかった・・・。

 でも、それを言ったら私はその場に泣き崩れてしまうと思った・・・。
 この場所では、もうこれ以上泣きたくなかった・・・。
 私がいつまでもこんなんじゃ、お父さんもお母さんも不安で天国になんて行けないよね・・・・。

 なんとか気持ちを落ち着けて、最後だけでも笑顔になりたいと思った。
 下を向いて、軽く呼吸を整えて無理やり笑顔を作った。

 「とはいえ、今の私はここを笑顔で見られてないから、初志貫徹できてないんだけどね・・・あははっ・・・。」

 その瞬間・・・。
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