Colorless Life
 私は真田君の胸に抱き寄せられた・・・。
 彼の腕は、強く優しく私を包み込んでくれた・・・。

 「もういい・・・、もういいよ・・・。分かったから・・・。」
 「・・・・・・。」
 「・・・・偉いよ・・・朝倉は・・・・。」
 真田君の声は震えていた。

 「俺は・・・逃げてたんだ・・・。遥に謝り続けることが、残された俺の責任のとり方だと思ってた。誰ともかかわらず・・・ただ遥の代わりに生きていれば・・それでいいと思ってた・・・。けど・・・遥はそんなことしたって絶対に喜ばない・・・。あいつだって・・・俺の幸せを願っていてくれるはずなんだ・・・。あいつも・・・俺のことすごく大切にしてくれたからさ。」

 ・・・・真田君・・・・・。
 ・・・・私の気持ち・・・・、伝わったのかな・・・・。
 少しずつ、心が暖かくなっていくのを感じた・・・。

 真田君は腕を緩めて真剣な顔で私の目を見た・・・。
 私はゆっくり真田君の瞳を見つめた・・・。

 ・・・・・あっ・・・・・。
 私が見た彼の瞳には、再び微かに希望の光が灯っていた・・・。
 その光を見た私は、嬉しくなって自然と笑顔になっていた。

 「ありがとう。遥のことを忘れる訳にはいかないけど、自分の人生を犠牲にするのはもう止める。俺も遥も幸せになれる方法を探してみる!」

 瞳の奥に写る光はどんどん大きくなっていった・・・。

 これできっと、私たちは本当の意味で前に進んでいける・・・。

 そうだよね・・・。お父さん、お母さん・・・・。

 近くの住宅から聞こえてくるピアノの旋律が、私たちの新たな旅立ちを祝福してくれているようだった・・・。

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