Colorless Life
 驚いて振り返った。
 真田君が少し恥ずかしそうに笑っていた。
 「詩織・・・本当にありがとう!」

 ・・・・し、詩織・・・・!?
 真田君が・・・・私のこと・・・・、な、名前で・・・呼んでくれた・・・・!?
 少し恥ずかしかったけど、すごく嬉しくなった。

 「また月曜日にね!ばいば~い!勇治君!」

 笑顔で軽く手を振って、石段を駆け上がっていった。
 今朝の落ち込んだ気持ちが嘘のように心が弾んでいた。

 今日は・・・・、ほんっっとに良い1日だったぁ~っ!!!

 お寺の小鳥たちが私の足音に驚いて、赤く染まった空に飛び立っていった。

 夕飯の時に、おじさんとおばさんに一連の出来事を全て話した。

 「なるほどね~、そういうことだったのね~。」
 「うん。本当にごめんね。心配かけちゃって。」
 「おじさんもびっくりしたよ~。真田君が突然泣き出すもんだからさ~。」
 「あははっ、そうだよね~。ごめんね~。」

 「それで、どうだった?自宅に帰ってみて。」
 「うん・・・。帰ってよかったかな。色々あったけど、なんかスッキリした。」
 私が笑顔になると、おじさんとおばさんは優しい笑顔を返してくれた。

 「それじゃあ、次は詩織の番ね~。」
 「私の番・・・って?」
 何のことかよく分からない顔をしていると、おばさんはニコニコしながら私を見た。
 「だって真田君、笑顔になったんでしょ~?」
 「うん!今日はすっごくいい顔してたよ!」
 「だったら次は詩織が彼に気持ちを伝える番じゃないの~?」
 「えっ!?ちょっ!お、おばさんっ!!」

 慌てておばさんを制して、おじさんをそっと見ると、おじさんは私を見てニヤニヤしていた。
 ば、ばれてた・・・・。既にばれてた・・・・。

 「お~ばさ~~~ん~~・・・・。」
 おばさんはそ知らぬ顔でご飯を食べていた。
 「だって、私たちは一心同体ですもの~。」
 私は恥ずかしくなって下を向いた。

 「おっ?詩織~、顔が赤くなってるぞ~。」
 「・・・・・・・・・・・・・・。」
 おじさんが私をからかうから、私はますます恥ずかしくなった。
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